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とろろ昆布の製法

弓なり式機械について

 ほんぽのとろろ昆布を作るのに欠かせないもの、それは代々受け継がれてきた道具(機械)と技術です。切削技術のページでも述べていますが、ほんぽでは代々伝わる弓なり式の機械をいまだに使用し続けております。
 この機械を現在でも使用しているのは、ほんぽを除いても大阪の一部の企業だけだと言います。ほんぽが弓なり式の機械にこだわる理由は弓なり式の方がきれいなとろろを作れると考えるからです。(詳しい内容は、切削技術のページをご参照下さい

機械導入の背景

 とろろ昆布を作る機械は、昭和10年代に広島の業者で発明されたと言います。ほんぽの機械は昭和23年に設置されているので、とろろ昆布製造のかなり初期の頃からその製造に携わっていたといえます。この機械は当初、現在の伊崎町に作られていた下関昆布協同組合の共同工場に設置されていました。ほんぽは初め、おぼろ昆布を主体とした昆布加工業を営んでいました。初代から代々受け継いできたおぼろ昆布加工技術ですが、その製造技術を持つには相当な年数と修行が必要であり、後継者となる若者が不足していました。おぼろ昆布は、昆布の表面を1本1本職人の手作業で削っていきます。一方で、とろろ昆布は複数の昆布を機械でプレスして圧縮し、ブロック状にした昆布の側面を機械で削っていくことで出来ます。上述のとおり、おぼろ昆布職人を育成することは大変時間が掛かり、おぼろ昆布は職人が昆布を手で削って作成するため、大量生産するにはプロの職人が複数人必要となるため、大量生産には向いていませんでした。逆にとろろ昆布は機械生産のため大量生産が可能で、このような背景から当時最新鋭で新たな大衆文化となりうるとろろ昆布の製作につながったのです。

表取り

 ほんぽはとろろ昆布の工程の一部を職人の手作業で行っています。近年、多くのとろろ昆布メーカーでは工程を機械化しています。しかし、ほんぽはとろろ昆布の表取り*1 (顔取りとも言う)を熟練の職人の手で直接取っています。というのも、直接手に取ることにより、きれいな表とそうではない表を選別するためです。そうすることで、おぼろ昆布のように上品なとろろ昆布の作成を心がけています。
 *1:表とは削られたとろろ昆布で紙のように平らでまっすぐきれいな状態なものを指します。お店でとろろ昆布を買ったとききれいな状態のとろろ昆布にとろろ昆布が包まれた状態で包装されていると思いますがその昆布のことを指します。ちなみに中身のとろろ昆布のことは「あんこ」と言います。

原料について

 さらに、きれいなとろろ昆布を作成するために、ほんぽでは原料である昆布にも伝統に則ったものを使用しております。昆布業界には、とろろ昆布に向いている昆布の定説があります。基本的に昆布を切断したときに切り口が白いものは「出し昆布」に、黄色いものは「とろろ昆布」に向いていると言われています。
 切り口が白い昆布には旨味成分であるグルタミン酸が大量に含まれています。逆に切り口が黄色い昆布は海藻のねばねば成分の元であるアルギン酸が多分に含まれています。とろろ昆布は粘りが命ですから、ねばねばの元であるアルギン酸が豊富に含まれている切り口が黄色い昆布が向いているのです。

ほんぽの"とろろ昆布"

商品画像
 このように、ほんぽはおぼろ昆布に近いきれいなとろろ昆布を作るために機械や職人、当たり前ではありますが原料である昆布にもこだわりを持っています。きれいなとろろ昆布はおにぎりなどを「巻く」という要素にも対応できます。きれいなとろろ昆布だとそれが可能になるのです。ほんぽでは「きれいなとろろ昆布」を作るためにこれからもこのこだわりを受け継いでいきます。