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安全な調味料を使う―天日塩

「塩業近代化臨時措置法」

 塩は生物が生きていくうえで必要なものであり、日本のみならず世界でも欠かすことのできない重要な調味料です。現在、日本では様々な種類の塩が販売されていますが、実はここ最近になってからの話だというのをご存知でしょうか。
 その原因となったのが「塩業近代化臨時措置法」です。1971年(昭和46年)に施行され、1997年(平成9年)に廃止されるまでの間、日本では「イオン交換膜製塩」の塩しか手に入れることができませんでした。「イオン交換膜製塩」とは海水中から分子レベルで純粋な塩化ナトリウムを取り出した塩のことです。この塩は成分の99.5%以上が塩化ナトリウムです。
 以前の塩は、海水をそのまま煮詰めたり太陽光や風力などを利用したりして作られていました。そのため塩化ナトリウム以外にも、マグネシウムやカリウムなどのミネラルが豊富に残っており、味もただ塩辛いのではない甘味や苦味など複雑な味わいがしていました。
 「塩業近代化臨時措置法」が施行されると一部の消費者や有識者から「化学薬品のような塩を食用にするのはおかしい」という反対運動が起こりました。このような時代背景により、大手の塩蔵業者では外国産の原塩を溶かし再結晶させ、ミネラル分を多く含んだ"にがり"を加えた塩を生産しました。これらの塩はこの法律により、天然塩が手に入れることができない消費者のために生まれたものでした。

塩の栄養

 最近の健康ブームにより世の中では減塩が叫ばれています。しかし、その一方で減塩ブームに警鐘を鳴らしている人々もいます。行き過ぎた減塩が逆に体調の不調を起こしているのです。塩は生命の源です。塩不足になると冷え性や疲れやすくなったり、下痢や便秘など体の不調が起こるだけでなく、ノイローゼなど精神にも不調をきたし、行き過ぎた減塩がかえって健康に害を及ぼしているのです。
 私たちの健康に生活習慣病などの悪影響を及ぼしているのは、あくまでも、"塩化ナトリウム塩"の過剰摂取です。前述のとおり、精製塩の成分は99.5%以上を塩化ナトリウムで占められており、それまでに含まれていたミネラル分がほとんど含まれていません。精製されすぎたこの塩が弊害となっているのです。
藻塩について

 ミネラルが豊富な塩といえば、藻塩(もしお)というものがあります。藻塩は、万葉集や平安時代の和歌にも詠まれている古代から伝わる伝統的な塩です。
 宮城県の塩竈市には、古代に製塩方法を人々に伝えたとされる鹽土老翁神を祭る御釜神社があります。この神社では、毎年7月10日に、神社内の塩釜で作った藻塩を神前にお供えする「藻塩焼神事」が行われています。
 藻塩の製法は、海藻を海水に浸しては乾すという行為を繰り返して濃い鹹水(かんすい)を作り、それを塩釜で煮詰める方法で作られています。藻塩は海藻を利用するという、単純に海水を煮詰めるだけの他の製塩法とは決定的な違いがある日本独特の製塩法です。
 藻塩は海藻を焼いた灰やそのエキスにより、ヨードやミネラルを含んだ旨味のある塩だと言われています。また、藻塩は、ミネラルが豊富であるということはもちろん、従来の食塩とほぼ同等の塩味なのに、塩分がかなりカットされているといいます。ほんぽでも、塩の結晶に微細な昆布粉末をつけた、昆布塩の製法特許を取得しております。昆布塩はこれまでもありましたが、従来のものは塩に昆布の旨み成分であるグルタミン酸ナトリウムを加えただけだったので、昆布独特の風味がありませんでした。しかし、ほんぽでは、塩の結晶に、粉末の昆布を付着させることで、昆布の旨みを生かした昆布塩の作成に成功しております。また、ほんぽでは、昆布の洗浄水から藻塩を作ることに成功しており、一部の汐吹き昆布などの商品へはこちらの藻塩を使用しております。

ほんぽのこだわり

 塩について色々と書かせていただきましたが、ほんぽでは「イオン交換膜法」で精製された食塩は使用しておりません。ほんぽは海水を煮詰めて作る、昔ながらの製法で作られた塩を使用しております。それは精製食塩よりもミネラルを多く含む自然塩の方が、人間の血液の成分に近く体に良いと考えるからです。人間の血液の成分に近い塩は人体への抵抗少ないといいます。ですから、99%の塩化ナトリウムよりも、多少ミネラルが含まれる塩の方が体には良いと考えます。
 塩で人間が必要とするミネラルがすべて補給できるとは考えておりませんが、人間の体に優しいと思います。ほんぽが一部の商品へ使用している「最進の塩」は、多段式平釜製法というメーカー独自の製法から作られた海水塩です。この塩の原料は100%私たちの地元・下関の吉母の海水です。海水中のミネラル分が豊富に残されている塩で、その味は"なんともいえない複雑な味わい""塩の旨み"を感じます。「手塩にかける」や「塩梅」、「うまいまずいは塩加減」という慣用句がさすように料理の味を決めるのは塩です。昔から、人々にとって塩が重要だったからこそ、このような慣用句が生まれたのです。
 味、そして健康の点からも塩分は重要になってきます。上述の通り塩が不足すると新陳代謝が衰え、肌のつやが悪くなったり、疲労が回復しにくくなったりします。また運動など汗を大量にかくことをしている最中、塩分が足りないと水分を取っても逆に血液中の塩分濃度を整えるために水分を排出し、脱水症状や筋肉異常が発生します。さらには冷え性や不妊症、食欲の減退なども引き起こすとされ、塩は人間にとって欠かせない成分だといえます。このように生き物に必要なものだからこそ、私たちは塩にこだわりを持つのです。