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海藻資源の保全活動に取組む

藻場の現状

 藻場とは沿岸域に形成された様々な種類の海藻・海草類の群落のことです。藻場は「海の森」とも呼ばれる生物の産卵やその稚魚の成長の場になっています。しかし、近年は「磯やけ」という藻場の死滅現象が起こり、深刻な問題となっています。実際、藻場の面積は、1979年には20万haを超えていましたが、2007年には12.5万haへ減少しています。さらに予測では、2027年頃には8万ha前後にまで減少するとされています。
 その要因として挙げられるのが以下の3点です
  1. 漁業従事者の減少や高齢化問題
  2. 地球温暖化による食害生物(うにや魚など)の大量発生や海水温上昇による海藻の生育不良
  3. 港湾整備よる潮流の変化等による栄養素の高い土壌の喪失
 磯焼けの対策として、各都道府県も税金を投じ、各地区の漁業従事者や学校等を巻き込んだ藻場の保全活動を行っています。例えば弊社がわかめの原料を仕入れている長崎県の西海大崎漁協でも行政や専門家らと協力して、藻場の再生に取り組んでいます。これらの漁協では、うにや巻貝など海藻を捕食する生物を駆除し、海藻の種となる母藻を投入することで、藻場の改善に努めています。
 こうした行政や漁協の保全活動がメディアを通じて取り上げられ、私たち非漁業従事者の保全活動への意欲も芽生え始めてはいますが、一向に減少傾向に歯止めがかからないのも実情といえます。
 藻場が喪失している他の要因のひとつとして、漁業関係者らの旧態依然の体質もあると思います。とある調査では藻場の保全活動を実施していない漁業地区は全国で6割近くあるとされています。これらの地区では、「漁業権」の問題で、私たち非漁業従事者が保全活動に協力する事に否定的な見解をしめしている地区が半数近くにのぼるといった調査結果もでています。
 実際、私たちも地元の水産関係の公的機関に弊社の藻場保全の取り組みの計画について提案したところ裏を疑われ、一蹴されたこともあるほどです。これでは藻場の再生や永続的な維持ができるはずがありません。漁業地区の中には民間企業と連携し、藻場の再生にむけた取り組みが実施しているところもあります。人手不足や高齢化等で保全活動がままならない今こそ、民間企業との連携をはかり取り組みを行っていくことが大切だと私たちは考えます。

ほんぽの取り組み

 このような海藻資源は昔は郷土、その土地で愛され続けてきました。しかし、これらは上記の理由などから、現在あまり有効活用されておりません。ほんぽはこれら海藻の有用化を図ることで、沿岸地域の藻場の活性化と、それに伴う魚介類の成育及び保護そして、そこに産業や雇用を生むことで、漁業従事者の定着や後継者問題の解消、そこから豊かな地域生活の一端を担うことに貢献していきます。
 ほんぽでは「ECO海藻」を開発いたしました。「ECO海藻」とは、設備や人手が不足しているなどの理由から、未利用となりやすい「非主産地」の海藻資源を活用した商品です。藻場の再生は、地球温暖化防止へつながる非常に重要な取り組みでもあります。あまり知られていませんが「昆布」は、1㎥あたり年間5.2~11.2Kgの二酸化炭素を吸収します。これは熱帯雨林の年間吸収量(1.0~3.5kg)の約3倍にあたる数値です。2010年に開催されたcop10で、日本は世界に藻場の重要性を提言しています。
 ほんぽの提案する藻場の保全活動、これは単なる慈善事業ではありません。豊かな藻場は豊かな漁場を育みます。漁場が豊かになると漁業関係者の減少も食い止められます。そして採りごろになった海藻は弊社が商品として販売する。
 日本は周りを海に囲まれた島国です。藻場の保有量は世界でも有数な国となります。そして、ほんぽは創業明治27年の海藻を主体とした総合乾物メーカーです。その弊社がどうして自分たちの大切な資源である海藻の保全活動に取り組まないというのでしょうか。ほんぽは、自社の事業を通して世界の大問題である地球温暖化、日本の悩みである漁師の後継者問題、そして海産資源の保護に努めます。これがほんぽの立場でもできる海藻資源の保全活動であると考えます。